北海道美瑛の写真家・中西敏貴のブログサイトです。
命の土地

今年、私が住む地域の牧場主から依頼を受けて、牧草地を撮影させていただいていた。

その牧草地はかつて前田真三さんも通いつめていた場所で、きっとどこかでその作品をご覧になった方も多いと思う。

10年ほど前だったか、マナーの悪さや疫病のこともあり、この場所は立ち入り禁止になり、撮影もできなくなった。

 

プロが作品を発表するということは、それを見た人を誘引してしてしまうということになる。

当時前田さんもそのあたりのことは十分理解されていただろうと思う。撮影前には菓子折り持参で所有者を訪ね、ちゃんと許可を得ていたという。

当時、マナーといった話はそれほどでもなかっただろうと思うが、そこは、人として、当たり前の行動だったのだろう。

でも、結果的にその場所は有名になり、地図にも記載され、カメラマンを誘引してしまった。

 

誰も撮影できなくなってどれくらいの時間が経ったのだろう。その場所に入って撮影を許可されたのは奇跡だと言っていい。

許可されて撮影したのは前田さん以来ではないのかと思う。

でも、そこで撮影した写真は依頼主に頼まれたものなので、WEBでは発表しないことにした。

いつかどこかでその写真をご覧になる機会はきっとあるだろうと思う。その時にお知らせしたい。

もちろん、この牧場での撮影は今後も許可されることはないだろう。

ただ、地主さんにとって、この場所とそこにある木は自慢なのだ。

だから本当はみんなに見て欲しいし、自慢したい。でも、できない。なぜならそこは彼らの命の土地だからだ。

 

美瑛で写真家として活動している以上、この悩みは尽きない。彼らの命の土地を撮らせていただいて生きている。

だからどうすればいいのか、まだ答えは見えない。

今回の依頼は、そんな私のことを見てくださっていた牧場主の方だからお願いされたのだろうと思っている。

自分が写真を撮ることで、美瑛を消費したくない。

だから、消費されるような作品の使われ方もして欲しくない。

ただ綺麗ですよ、美しいですよ、どんどん来てくださいね、という観光の時代は終わった。

地図もいらないし、名前もいらない。ただ、農家へのリスペクトが必要だ。

もっと地域に寄り添っていく観光が、今後求められていくだろう。

 

 

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今日の作者コメントは重いテーマを
含んでいると思います。著名な撮影
地になったが故に、地元生活者との
軋轢を産んでしまった場所、配慮を
要する環境、他の分野でも同じです
がマニアと云われる人たち(小生も
そうかもしれませんが)が及ぼす迷
惑を副産物として甘受できる時代で
は最早ありません。撮影者みんなが
受け止め、考える問題。共有し認識
できる解決策が必要だと思います。
from. Fum's | 2018/08/22 06:17 |
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